クワガタのようなハチ オオキバドロバチ (Synagris cornuta)

昆虫標本
オオキバドロバチ

アフリカのカメルーンにはオオキバドロバチ(学名 Synagris cornuta: cornutaは”角があること”)というクワガタムシのような角を持ったハチがいます。このハチは群れはつくらず、1匹だけで生活しています。メスは角がなく、泥で作った壺状の巣に卵を産み、餌となるイモムシを運んで幼虫を育てます。

そしてこのオスは何とも特徴的なクワガタムシのような角を持っています。この個体の体長は 30mmほどで、角は長さ6mmほどです。角は幼虫時代の栄養状態によるらしくこの個体は小さめな気がします。

オオキバドロバチ1

この角の使われ方ですが、メスが巣から成虫となって出てくるときに、メスを狙って複数のオスが待ち構えており、その時にこの角で相手を投げ飛ばして戦います! 

オオキバドロバチ2

まさにクワガタムシの戦いのようですね。ただ、投げ飛ばしても飛ぶ能力の高いハチなので、また戻ってきて再び戦うこともあるそうです。牙で戦ったほうが強力でいいじゃないかと思いましたが、(例えば、日本のオオスズメバチは木の幹をかじりとって樹液を出せるほど強力な牙を持っています)、牙で戦うとお互いボロボロになりそうで、この角で戦うほうが傷つかずいいんでしょうか。

大きい角は投げ飛ばしには役に立つのですが、飛ぶには邪魔になります。たしかに大きい角は飛ぶときには大きな抵抗になりそうですね。小さな角のオスは戦いには弱いですがすばやく動ける分、大きな角のオスとの交尾が終わって飛び去って行くメスを狙って素早く飛んで追っていくには有効と考えられています。武器がない分、したたかな戦略があり、おもしろいですね。

コメント